初日とは言え、何もせずにはいられなくなり……

日沈までの間、マサと近所を一頻り散策し道場に戻ってくると、N・K夫人が晩飯の準備をしているのが窓の外から見えた。T・Mの後ろに付いて玄関を上がる直前、心なしかさっきより姿勢が良くなったその佇まいを一瞥しながら、きっとT・Mは退屈な日常に嫌気が差して我慢の限界に達していたのだろうと私は一人合点した。仮にそうでなかったとしても、誰かに日頃の愚痴や不満を聞いて欲しかったに違いない。
「そういえば、今日は野球どうなってる?」
「わからん。録画したやつを、明日見てみる」
「そういや明日、雨降るってよ」
「マジ?クソッタレがー!」
 大人数が並んだ食卓には口々に次から次へと何の変哲もない日常会話が飛び交う。私が味噌汁の入った椀を手にしながらおかずをつついていると、講堂から心地良いピアノの音色が漏れて幽かに耳に入ってきた。T・Mはそのうち不味くなると言っていたが、今夜の味噌汁の味に限っては忘れられない思い出になりそうだ。
この日はT・Mが食器洗いから風呂の洗浄・湯沸かしまですべて行うよう当番制で割り振られていた。私とM・T、N・T、S・Kの四人は入門初日という新人の特権で一切の役割分担を免除されていたので食後は座敷に座って優雅にくつろいでいた。しかしいくら初日とは言え、ひとりで率先して当番をこなしているマサを横目に何もせずにはいられなくなり、せめてT・Mの洗い終えた皿を拭いて食器棚に戻すくらいは手伝おうと私は無理矢理重い腰をあげた。
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道場の精神鍛錬の真実

「そう言えば食事の話で思い出したけど『内観』って言われる食事療法があるらしいけど、実際にやったことはある?」
「『内観』はいわゆる断食だ。強制ではないから大丈夫。金も掛かるし。オレたちの道場じゃなくて、静岡にある、別の道場に行って、泊りがけでやる。冷水や白湯以外は禁止で、飲まず食わずの地獄だそうだ。以前やった奴が居たけど、一ヶ月後、ガリガリに痩せ細って帰ってきた。オレはやらないし、やりたいともおもわない。人にも勧められない」
 さすが四年選手ともなれば道場の事情には詳しかった。T・Mは他にも放課後や終業後の過ごし方についても身振り手振りも交えて教えてくれた。正直、初対面の印象はあまり良くなかったが話してみると意外と親切な一面もある性格だった。
「うーん、そうか。なら私もやめとこう」
「それが正解だ」
 まるで仕事ができないサラリーマンが飲み屋で繰り広げているようなユーモラスな私達のやり取りは続いた。
 その後もT・Mと歩きながら色々話した。一ヶ月前までは他に二人の道場生が居たようだが一人は進路が決定し、もう一人は家庭の事情ということでそれぞれがほぼ同時期に出門してからというものT・Mは話し相手がN・H以外にろくにいなかったという。N・HはN・Hでスタッフとしての体面もあってか、忙しくてなかなか相手になってくれずに日中は孤独だったらしい。
 空には鮮やかな緋色と朱色が織り交ざるように広がりを見せている。手汗

憧れの王様の椅子

ゴージャスな気分を味わいたくて王様が座るような椅子が欲しいんですが、このことを話しした人全員に反対されています。
どこでどうやって使うの?高い割に使えないでしょ?もっと実用的な椅子を買いなよと説得されていますよ。
私の母親はあんたいい加減に変なことするのやめなさいとまで言ってきました。

たぶん昔、かっこいいと思って豹のリアルなぬいぐるみを買って部屋に置いておいたのを根に持っているんでしょうね。
最初はかっこいいと満足していましたがだんだんスペースをとるから部屋を広く使えないなと困ってきて、最終的に母の部屋に置いてしまったんですよ。
いらないんだけど!なんなのこれ!と怒られた覚えがあります。

王様の椅子ももしかしたら自分のところに来るのではとヒヤヒヤしているのかもしれませんね。
確かに欲しくない人からすれば大きくて邪魔になるので嫌でしょうが、私はもう実家を出ている身なので使わなくなったからといってわざわざ実家に送りつけたりはしません。
そんな面倒くさいことをするはずないのに心配しているということは豹のぬいぐるみの件がよほど嫌だったんでしょうか。ちょっと反省しました。

けれど母親だけでなく妹も反対してくるんですよね。
妹の場合は笑いながらの反対です。お姉ちゃんて相変わらず趣味悪いよねと笑われています。
皆反対してきますが、でも目の前に王様の椅子があったら座るんじゃないの?と思っていますよ。

興味はあるはずです。邪魔だから家に置きたくないというだけで一度は座ってみたいと考えたことがあるはずですよ。
私はそんな夢を叶えたいんです。よって夫との交渉に入りますよ。
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子供にとっての夫は遊び友達

私と子供の関係と、夫と子供の関係は違うので見ていてとても楽しいです。
子供は私に甘えてくるんですよね。母親なので安心感があるんでしょう。ひざの上でごろごろしてみたり、寝ているところを上に乗って起こそうとしてきたりします。
そして泣いた時はいつも私のところに来ますね。夫が腕を広げて待っているのをスルーして私の元に来るので夫は少々寂しそうにしています。

しかし私は役割が違うだけで、夫も必要とされていると思うんですよ。
遊びなんかは私と遊んでいるより夫と遊んでいる方がはるかに楽しそうです。毎日母親と遊んでいれば飽きますし、私は決まった遊びしかできないのでたまに父親といつもはしないことをして遊ぶのは刺激的なんでしょうね。

というより、もしかしたら精神年齢が近いから夫のことは友達のように思っているのではないかと考えています。
時々お菓子の取り合いをしていますからね。夫も好物だと譲ってあげないので大人げないです。

いつだったか、夫が子供にパンをあげたら子供はパンを食べながら寝室に走っていったんですが、それを待て!寝室はダメ!ダメー!と叫びながら夫が追いかけているシーンを目撃したことがあります。
子供は笑顔で走っていましたよ。追いかけられて嬉しいんでしょうね。反対に夫の顔は真剣だったので面白かったです。

子供はこういうことを私にはしてきませんからね。待ちなさいといえばゆっくり近づいてきますもの。
しかし夫にはこの事実は打ち明けられません。私の言うことは聞いて、夫の言うことは聞かないなんて真実を知ったらショックでしょうからね。
あなたとの遊びが楽しくて子供ははしゃいでいるのよと言っていますよ。
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親も一年生

最近、小学一年生になった息子が、学童保育が終わると友達を連れて帰宅する。連れてくる子どもは、同じ学年だったり、上級生だったり、男の子だったり、女の子だったり色々だ。男女隔てなく学年も隔てなく友達ができるのは良いことなのだろう。しかし、おかげでいつも我が家の床は、砂でじゃりじゃりしているし散らかり放題だ。まあ、それは仕方ないし些末なことだから良いんだが、どうしたものかと気にかかっていることがある。マンションの6階にある我が家はベランダが広い。それを利用してハンモックを置いている。子ども達は総じてハンモックがお気に入りで、家に来る子は皆すぐ遊びたがる。だが、子どもだけでベランダに出るのは危ないので、大人がいないときは出ていけないと、息子にも他の子ども達にも言い聞かせている。当初はおとなしくルールを守っていたのだが、最近、子ども達が我が家になれてしまったせいもあったか、仕事が終わり私が帰宅したときには、既にベランダで一遊びした形跡がある。息子は気が弱いわけではないが、さすがに上級生を前にしたら押し切られてしまうのだろう。これまで事故なくきてるが、どう考えてもあまり望ましいことではない。今後その都度注意したところで、約束を守るのもその時だけと言うのも目に見えている。なら、いっそのこと大人がいないときは、家で遊ぶことを禁止するか。でも家遊びを禁止しても子ども達は守れるのか。子どもが小学校一年生なら、親も一年生だ。悩みがつきない。
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日々ウキウキ♪

私は最近、2週間~4週間事にウキウキする出来事があります。それは、私のお腹の中にいる赤ちゃんの検診に行くことで、検診に行くたびに『また大きくなった!』『鼓動がしっかり聞こえる!』と、日々今までに経験したことのない喜びを感じることができます。それに、その事をエコー写真を見せながらルンルンで夫にはなすと、夫もニコニコしながら「おぉ!おっきくなってる!可愛い♪」と言ってくれ、さらに私の中でウキウキやルンルン気分が増していきます。
最近では私の両親や祖母も喜んでくれ、一緒になって今後の事を考えてくれるようになりました。ただ1つ心配な事は、仮に産まれくる子が女の子だった場合、夫が溺愛し何でも買い与えてしまったり、大きくなってから彼氏を連れてきたら彼に怒りの鉄拳を加えてしまうのではないか…という不運です(笑)と言ってもそんな事はまだまだ先のお話で、でもそんなに事を想像?妄想?しながら日々まだ名前の決まっていないお腹の中の子に「ぽこちゃん、今日は元気ですかぁ?」とか「今日はいい天気だねぇ」などと話しかけるのか今とても幸せで、早くこの子を腕に抱きたい!と思ってしまいます。
また、まだまだ若い夫婦なので喧嘩することも多いですが、その度にお腹の中の子が「喧嘩はダメだよ!」と言ってくれているような気がして、すぐに喧嘩もおさまってしまい、さすがぽこちゃん!と勝手に心の中で思うようになりました(笑)
夫とお腹の中の子との3人での生活が今の私には1番の幸せなんだな、と日々感じる今日このごろなのです。
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母の笑顔

6月も終わる頃の日曜日の夕方。駅近くのスーパーで買い物をしていると、6歳ぐらいの男の子を連れたお母さんが目にはいった。いや、聞こえた声の先にいた。なぜ目を向けたかというと、その声がとても愛しくもあり、どこか切なさすら感じさせるものだったからだ。
「お母さん!今日の晩御飯一緒につくろ!」そんな言葉だった。なにげない親子の会話だ。母の手伝いをすると言うそれだけの言葉なのに胸に響く。
温かくて、懐かしい気持ちと共に、母の隣で小さな踏み台を置きその上に乗って、料理をしていた光景が浮かんだ。そして、友達と笑ったこと、先生に褒められたり叱られたこと。友達とケンカしたこと。ほとんどはくだらないことばからりの話。なのに楽しそうに、嬉しそうに話を聴きいる母の笑顔があった日々のことを思いだした。
進学で実家を離れてもう5年もたつ。大学を卒業し就職してそれなりに大人になった。忙しくて実家にはほとんど帰っていない。たまの電話も適当に流して、ろくに会話もしなかった。いつからかそれが当たり前になっていた。だからこそ、なにげない男の子の言葉が母の笑顔を思い出させ、愛しくて切なくさせたのだろう。私が適当に話を終えようとするとき、母は受話器の向こうでどんな顔をしていただろうか。きっと男の子のなにげない言葉で思い出した。優しさに満ちた笑顔ではないだろう。
今度、休みが取れたら実家に帰ろう。母の隣で沢山話そう。嬉しかったことも、大変だったことも。料理が楽しかったわけではなく、母と話すことが楽しくて大好きだった。あの頃のように。
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車でお出掛け

今日は息子のプールの日でした。家の近くにはスイミングがないので、電車で10分ほどのところに通っています。ドアtoドアで30分弱くらいでしょうか。
プールに通いはじめてちょうど1年がたったところで、今日初めて自宅から車で行ってみました。
雨が降っていたのと最近車の運転を再開したので、軽い気持ちでちょっと車で行って見ようかなあという感じでした。
初めてのところを車で行くので少しは余裕持ってうちを出ました。ナビの到着時間を見るとレッスンの開始に間に合うか間に合わないかの微妙な時間なっています。
車では子供が好きな音楽をかけ、雨も降っていたので車で出掛けて良かった~、と思い気持ちよく出発しました。
なんとなくの道のり調べていたので、わかっているつもりでいましたが、初めての車でのスイミングだったのでナビ通りに行くことにしました。
ナビだけのせいではないのですが、朝の渋滞に巻き込まれてしまって車は思うように進みません。どんどん到着予定時間が遅くなっていきます。
家を出発して半分もいかないところですでにレッスンに間に合わないのが決定。
このまま引き返すべきか、でも少しくらいの遅刻ならまだ大丈夫!と思いこのまま行くことにしました。
そしたら、今度は子供が持っていたミニカーを下に落としてしまいギャン泣き。こちらは運転中なのでとうすることもできず、そのまま運転。
レッスンに間に合わない焦りと子どものギャン泣きでだんだんイライラ。
なんとかスイミングに着いたものの大幅に遅刻。なので少しだけ外から見学して家に戻りました。
スイミングを楽しみにしていた息子に申し訳けないことをしてしまったと反省。
次回からは素直に電車で行くことにします。
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